放送予定曲目

　今回の放送で取り扱う予定の曲目から一部を紹介します。

実際に聞く前に、下の説明を読んで予習をしておくと、さらに楽しく聴く事が出来るでしょう。

交響詩「フィンランディア」

作曲：ジャン・シベリウス（1865-1957）

シベリウスはフィンランドの作曲家。大学では法律の勉強をする傍ら、ヘルシンキ音楽院にも在籍し、作曲を学んでいました。
作曲された1899年、フィンランドは当時のロシア帝国による圧政を受けており、独立運動が巻き起こっていました。

曲は、金管楽器による苦難ともとれる響きから始まります。一度曲は緊迫感が増していきますが、急に明るくなります。
そしていったん落ち着くと、有名な「フィンランディア賛歌」が奏されます。最後は高らかに賛歌を歌い上げ、曲は盛大に閉じます。

バレエ音楽「春の祭典」

作曲：イーゴリ・ストラヴィンスキー（1882-1971）

ストラヴィンスキーは初期の３つのバレエ音楽がとりわけ有名です。
その中の１つで今回かける「春の祭典」はストラヴィンスキーと言えば！というくらい有名な作品。
しばしば20世紀クラシックの傑作とも言われます。複雑かつシステマティックなリズム、音響構成とは裏腹に
終始突き上げる強烈なリズム感は、白鳥の湖のようなバレエの印象を一瞬にして吹き払います。

ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オスティナータ

作曲：伊福部昭（1914-2006）

伊福部昭氏は日本を代表する作曲家です。「ゴジラ」のテーマは氏の作曲したもので、あまりにも有名です。
日本らしさをとことん書いた曲が多く、どれも日本人の本能に触れるものがあります。
リトミカ・オスティナータとは、作曲者曰く「執拗に反復する律動的な音楽と云う意」。
５拍子、７拍子などの日本語による韻文の奇数律動をモチーフにとっています。
また、12音技法という作曲技法に対して、その半分の6音で旋律を構成しています。
日本人なら絶対に聴くべき音楽であると思います。

遠い呼び声の彼方へ！～ヴァイオリンとオーケストラのための

作曲：武満徹（1930-1996）

こちらも日本を代表する作曲家で、世界で一番名前が広がっている日本人作曲家であると思います。
「遠い呼び声の彼方へ！」は、漫画「のだめカンタービレ」では千秋のパリでのデビュー公演で演奏された曲目の１つですが、
のだめ読者の中でも知っている人はあまり多くないみたいです・・・なのでせっかくの機会ですので。
非常に官能的な旋律と不協和音は、ハ調の海を目指して漂っていきます。不意に現れる協和音に注目。

弦楽四重奏曲ヘ長調

作曲：モーリス・ラヴェル（1875-1937）

「ボレロ」で有名なフランスの作曲家です。
ラヴェルが20代の頃に作曲した曲ですが、既にその技は一流であったと言えるでしょう。
弦楽四重奏は、２つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロで構成されている編成です。
全４楽章からなっていて、第１楽章はソナタ形式に基づいています。第２楽章ではピチカートが特徴的。
第３楽章は緩徐楽章(ゆったりとした楽章)です。子守唄のような甘美なメロディーを堪能してください。
終楽章は劇的に始まり、流れるようなテンポ感。５拍子の強烈なリズムに基づき、最後は華やかに終わります。

サクソフォーン四重奏曲

作曲：アルフレッド・デザンクロ（1912-1971）

サックス(正しくはサクソフォーン)は、主にJAZZなどで活躍するイメージがあるかと思われますが、クラシックでもしばしば用いられます。
このデザンクロの四重奏曲はサックスアンサンブルの中でもとりわけ有名な曲で、3楽章からなります。
デザンクロはフランスの作曲家で、それほど多くの曲を残していません。
第1楽章はソナタ形式。混沌とした第1主題と牧歌的な第2主題が入り組んでいます。
第2楽章は揺りかごのようなアンダンテ。優しいメロディが印象的です。
終楽章は冒頭から刺激的に始まります。ロンド形式に基づいて、特徴のあるリズムを持つモチーフが展開されます。
弦楽器に引けを劣らないサックスの響きを堪能してください。

Piano Phase

作曲：スティーヴ・ライヒ（1936-）

ライヒはアメリカの現代音楽作曲家で、ミニマル・ミュージックの中心的人物です。
ミニマル・ミュージックというのは、一個のメロディの素材が延々と繰り返され、その中で起こる時間のずれや変化を聴き取る音楽のことです。
ですので、これまでの西洋音楽とは少し違う聴き方をしなくてはいけません。
言葉で説明すると難しく思われますが、曲は非常に単純に出来ています。
2台のピアノが同時におなじ素材を繰り返し弾きます。そして片方がテンポをずらしていくと、不思議な音響空間が発生します・・・
この時間のずれを思う存分味わってください。